大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)2962号 判決

控訴趣意に対する判断に先だち、職権で原判決理由の当否につき調査をするのに、原判決は被告人が李ハル子と共謀の上焼酎を密造する目的で米と米麹と水とを原料とし桶に仕込み醗酵させて酒精分三度位の濁酒約二石位を製造したという事実を判示し、被告人の右の所為に酒税法(昭和二十四年四月三十日の改正前のもの)第六十条第一項第二項第二条第一項第三条第六条第一号刑法第六十条等を適用処断している。しかしながら、焼酎を製造する目的で原料を仕込みこれを醗酵させた場合においては、たとえその物が客観的には濁酒と称せらるべき状態に達していたとしても、これを濁酒とは云わず醪と呼ぶべきものであること、いいかえれば、かかる場合には原料が醪となり次いで一旦濁酒となり最後に焼酎となるのではなくして、蒸溜して焼酎とする直前の状態までを一貫して醪と称するものであることは、当審における鑑定人山本保の供述によつても明らかなところである。しからば、焼酎製造の過程において濁酒が製造されるということは観念上ありえないことなのであるから、本件において被告人の仕込んだ原料が醗酵して約三度位の酒精分を含有していたとしても(念のため附言すれば、本件につき昭和二十五年四月二十日に東京高等裁判所がした破棄差戻判決の趣旨は、差戻前の原判決が本件物質の酒精分を一度未満のものと認定したものと解し、その点に事実の誤認があるとしたものであること、右判決の全文及びそれまでの本件訴訟の経過に徴し明らかである)一方において焼酎製造の目的をもつてしたことを認定しながら濁酒を製造したものと判示した原判決は、その理由自体にくいちがいがあるものといわなければならない。

(下略)

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